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フォトエッセイコンテスト1次選考通過作品

ラブレター

ひまのま

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あの時、声をかけてくれなかったら今頃どんな生活をしていたかなと、まあまあ本気で考える。

 

自動車免許の講習の案内が届いたけど、仕事の都合がつかなくて講習を1週間変更してもらった。

お昼も挟んで朝から夕方までの講習。

2〜30人の小さな教室で丸一日となるとあちこちで話が盛り上がったりグループでランチに行ったりしてるのに、人見知りの私はそんな輪には入れない。

ただただ恐ろしい教官の話を聞いているだけの時間はとても長かった。

まぁ、これが終わったら友達と約束してるし、おいしいもんいっぱい食べよう。

けど友達、今朝からメールの返事全然ないな。

それにしても眠たいな。

隣の人眠たくないのかな。

あれ?今どのページ?

「ここ」

そっと隣の男性が教えてくれた。

うとうとしてたのバレたかな。

かっこ悪いな。

でも助かった、ありがとう。

そうこうして眠気と闘いながらようやく講習が終わった。

 

友達とは連絡取れないままだけど、この後の事は電車に乗ってから考えよう。

もう予定はなくなったのに急ぎ足で光明池駅へ向かう。

最近行ってない歌の練習でも行こうかな。

それとももう帰ろうかな。

 

あれ?この電車間違ったかな?

乗りたいのは次の電車だった。

と、ドアが閉まる間際に慌てて降りる。

間に合った。

しばらくして到着した次の電車に乗り込んで、ようやくゆったり座った。

 

やっぱり練習に行こう。

そう決めて本を読み出した時、

「おつかれさま」

と、頭の上で声がした。

今日1日隣に座っていた男性だった。

「ああ、おつかれさま」

場所が変わって顔を合わせると、親近感が沸いて自然に話せるから不思議。

今日の教官怖かったねーとか、どんな車に乗ってるのかとか、大型バイクなんですねとか、そんな話をしてる内に「ごはんでも食べに行く?」という話になった。

 

その後も、いろんな話をすればするほど、佐用町のひまわり畑とか道の駅のスタンプラリーとか、行ってみたい場所や走ってみたい道がお互い似ていて、気付いたら次に会う約束までしてしまっていた。

 

あれから15年。

その彼は今、毎日幸せそうな顔をして私の隣にいる。

嬉しいことや楽しい事がある時はもちろん、

悲しい事やつらい事がある時にも幸せを感じられる。

 

もし、あの時 講習の予定を変えていなかったら

もし、あの日 友達との約束がなくなっていなかったら

もし、あの時刻、あの車両の、泉北高速鉄道に乗っていなかったら

 

いろんな事が奇跡に思える

あの日声をかけてくれなかったらこんな毎日はなかっただろうと心から思う。

 

私を見つけてくれてありがとう

出会ってくれてありがとう

これからもよろしく

 

そしてまた、記念日には泉北高速鉄道に乗りに行こう

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